■はじめに
2020年2月…中国武漢からはじまった新型コロナウィルスが流行…中国人の春節のタイミングに重なったこと、クルーズ船の入港などもあり、日本にも影響がでて、ニュースで国内の感染者が連日報じられ不穏な空気感が漂い始めました。
当宿ゲストハウスひつじ庵、もともと二月は閑散期で予約は少なめだったとはいえ、その数少ない予約が、中国人によるキャンセル、イベントの中止や外出自粛の動きから日本人の予約も次々とキャンセルとなっていきました…。
で、オーナーである私は考えました…。
ゲストゼロで宿で悶々と過ごすと気が滅入ってしまう
→それなら旅行して気分を晴らそう
→東京など人が多いところは感染の確率を考えてマズイ
→人の少ない場所に行こう
→山に行こう
→そうだ、ずっと熊野古道に行きたいと思っていた
→欧米系外国人ゲストさんに人気のエリアなので後にアドバイスできるようになる
→どうせなら熊野三山を制覇しよう
→熊野本宮の近くに湯の峰温泉にゲストハウスがある
→那智大社の近くにもゲストハウスがある
→那智まで行ったら 帰ってくるの大変
→中間地点として伊勢にも行ってしまえ
→新型コロナウィルスの流行収束を祈願しまくろう
→ついでに予約が(きっと)少なくて困っているだろう宿の応援にもなる
という思考回路で、2020年2月26日から
「熊野三山&伊勢 新型コロナウィルスの流行収束祈願・宿応援三泊四日の旅」
を決行することになりました。
旅日記的なものは後日書くとして、
まずは宿泊した素敵な三つのゲストハウスをご紹介させてください。
■J-Hoppers熊野湯峰ゲストハウス(和歌山県)
京都から奈良の「大和八木」駅まで電車で行き、そこから日本一長い路線バスに乗り、はるばる「湯の峰温泉」へ。ここは熊野本宮大社や熊野古道の散策に便利な場所。
バスを降りたらそこは、なんとも雰囲気のある温泉地。そのバス停から徒歩2分ほどのここ「J-Hoppers熊野湯峰ゲストハウス」さんに到着。
元々 温泉旅館であった建物を改装したようですね。
チェックイン時にスタッフさんが館内を丁寧に案内してくれました。
ここが私が予約したドミトリールーム。造作のベッドでしっかりしてます。写真だと分かりづらいですが、こういうベッドの配置は初めてみました。窓に面したところに縦入りの四つ。真ん中と部屋の端から少し奥に入り横入りのスペースが二つずつ、合計8ベッド。
一つのボックスはスペースが広めで荷物も余裕で置けました。内部はハンガー、ライト、コンセント、ロッカーがあります。遮光カーテンではないことだけが残念ですが、あとは完璧です。
キッチンは自炊の為の道具は全てそろっています。
炊飯器があり、夜は既に炊いてある御飯がフリー、朝はお粥が用意されてました(夜も朝も決まった時間内)、凄い。自分は販売されているレトルトのカレーを温めてカレーを食べましたよ。
ゲストハウス内で自炊(温めただけですが…)をしたのはどれくらいぶりだろ?
夜の共用ルームの様子です。炬燵と囲炉裏、他に小さなテーブルと座椅子があり、適度に距離感が取れますし、話しかけたい人は気軽に話せる絶妙な間隔とテーブルの配置です。実際に欧米系は結構他の人に話しかけてて楽しそうでした。
和室のこの雰囲気とってもいいですよね。
宿内にお風呂がなんと三つもあります。二つは内湯、一つがこの写真にあるような露天風呂です。もちろん温泉をひいてます。
私は到着してすぐに、徒歩二分の「つぼ湯」という30分貸し切りの温泉に入りました(昔 ゲストさんからこの温泉のことを聞いていたのでずっと入りたかった)。
翌朝に 熊野古道を歩く前に朝風呂としてこの露天風呂を利用しました。
もともと朝は入るつもりはなかったのですが、朝 写真を撮るために覗いたらここも入っておかなきゃ損だろうと衝動を抑えられませんでした(^^;
スタッフさんは、熊野古道についてやバスの時刻表など、質問するとこちらが知りたい情報を的確に答えてくれ助かりました。
私が泊まった時で15人くらいのゲストさんをみましたかね、一人を除き全て欧米系のゲストさんでした。
※まだこの時点(2月末)では、あまり欧米系の客足にそれほど影響がなかったかもしれません。こういう特殊な事態があった場合に、ゲストの国籍のバランスがいかに大事か。
ここ熊野の湯の峰温泉、京都から7時間40分かかりましたが、その分 なにか世俗と隔絶された感じを味わえますし、温泉街の独特な雰囲気がとっても良いです。近くに(自転車やバスを使っていける)渡瀬温泉や川湯温泉というところもあり、温泉三昧できます。
熊野古道に関しては、私は この宿のすぐそばの登山口から赤木越えルートで発心門王子経由して熊野古道本宮という8時間くらいのルートを歩きました。
もう少しお気軽熊野古道体験で良ければ、ここからバスで15分ほど(?)乗り、発心門王子へ行って、高低差がほとんどない道を二時間くらい歩くと良いと思います。
トレッキングをしたあと、温泉を楽しめます。二泊するのもいいでしょう。
その際は是非こちらの「J-Hoppers熊野湯峰ゲストハウス」さんに泊まることをお勧めします。
■Why Kumano(和歌山県那智勝浦)
熊野古道を7時間歩いたあと、湯の峰温泉からバスで一時間で「新宮」駅へ。そこからJRで「紀伊勝浦」駅へ。目的は翌日に那智大社に行くためとネットで見つけたセンスのいいこのゲストハウス「Why Kumano」に宿泊するため。
で、この驚異的な立地を見てください。右に写ってるのがJR「紀伊勝浦」駅、そして左側に写ってる三階建ての建物がゲストハウスで徒歩10秒です!
一階は「bodai」という飲食店、ゲストハウスは二階と三階になります。
文才が無いのでうまく説明できませんのでご容赦ください…「センスのあるオシャレな内装」です。おしゃれすぎず親しみやすいいい感じのデザインなんですよ…あー、語彙力…。
で、こちらがオーナーさん。写真OK貰いましたので 載せますね。
このオーナーさんが無茶苦茶感じイイんですよ…。お店の紹介の仕方や情報提供も的確でした。この時と、夕食を食べて帰ってきた後、結局三時間くらいは話したかな。
周辺のゲストハウス事情や運営の工夫をされてきた話などこちらも参考になりました。
二階部分がレセプションと、くつろぎスペースになってます。
お酒やカフェ的なスペースとして一般の人にも開放されているようです。
パンフレットやフライヤーなどの置き場もカッコいい。
私が利用させてもらったドミトリールーム。
夜は足元の暖色系の照明が雰囲気あってよい感じですし、朝は窓から光が入ってくるように工夫されていて明るくて清潔感ありました。
この日は、この宿と那智勝浦が好きなリピーターの大学生とそのお友達の四人組と一緒でした(非常にイイ子たち!)。
がっつり造作のボックスタイプで非常によく考えられている配置でした。上段部は基本的にハシゴではなく、階段で上に上がる作りになってます。
例外で二か所だけ取り外し式の階段がありました。満室に近くなる時だけ設置するようです。この辺の工夫も素晴らしい。
シーツ類は自分でセットするタイプ。独自の照明もオシャレですね。コンセントも2口とUSB2口。自分はパソコン、カメラ2台、モバイルバッテリー、スマホを充電する必要があるのでこのコンセントはありがたかったです(実際は電力容量などあるでしょうから全部フルには使わず、夜と朝に分けて充電しましたが)。
コンロは見当たりませんでしたが、冷蔵庫、電子レンジ、ケトルがありました。洗濯機もあり。トイレやシャワールームなども細部までしっかりとデザインされてます。
近くのホテルなどに日帰り温泉があり、そちらをゲストに薦める場合が多いそうですが、私はこの日は朝と昼に温泉に入っていたので、シャワーを利用しました。
で、このシャワの水圧が凄い。シャワーの水圧で頭マッサージされて増毛するんじゃないかくらいの勢いです、素晴らしい。
ここ那智勝浦、熊野古道を徒歩で数日間かけて移動する熊野古道ガチ勢の欧米系の需要があるようで、この御宿さんも外国人の割合が高いようです。
宿泊した翌朝は徒歩4分ほどの勝浦漁港のマグロのセリを観に行けます。採れたての新鮮な魚介が食べられる定食や丼ぶりが食べれるお店もオープンして朝食として楽しめます。宿の前のバス停から那智大社まで簡単に行けますし、とってもいい場所だと思います。
那智勝浦に来られる方は、間違いなくこちらの「Why Kumano」さんをお勧めします。
■ゲストハウス紬舎(三重県伊勢)
那智大社、熊野速玉神社と神倉神社を廻ってから、紀伊半島の海沿いを走る電車に乗り、はるばる伊勢へ。もう日が暮れた頃、伊勢の近鉄側の出口から出て徒歩4分ほどで到着しました「ゲストハウス紬舎」さん。
ここは以前から 当宿のゲストさんから評判を聞いていた宿で是非来たいと思っていたところです。
結構大きな古民家です。
電車で向かっている最中にツイッターのメッセージで「今から男性一名 OKですか?」「OKです」「もうすぐ着きます」「え?オーナーさん自ら来られるんですか!」のやりとりが面白かったです。
こちらは若い女性のオーナーさんが基本的に一人で運営されているところです。
チェックインで共用ルームに入ってびっくり、ゲストで賑わっている…!
う、羨ましい…。
伊勢そのものがあまり外国人が来ないそうで、日本人のお客さんの比率が非常に高いそうです。あとコンサートホールもあってライブ目的のお客さんが泊まられることも。
チェックイン時に、伊勢神宮の内宮・外宮やおかげ横丁などの情報と近隣のお店など色々教えてもらいました。
こちらが共用ルーム、炬燵と平机。ここ以外にも階段下のスペースや二階のバルコニーにも机と椅子があって「居場所」が確保されています。
こういう古民家を利用した宿は通称で「お家(おうち)系ゲストハウス」なんていったりしますが、友人の家やおばあちゃんの家に遊びにきたみたいな感覚でとっとも好きですね。
階段とかそういうところ以外は、オーナーさんが丸ノコとかインパクトドリルなど駆使してDIYで順次改装しているそうです、凄すぎじゃないですか?
お部屋は二階、(ちなみに到着は夜。この写真は翌朝に撮ったものです)。
左にバルコニー、台湾の古い建物などに残ってる独特な表面仕上げの床で、結構貴重だそうです。
私が泊まった部屋はコチラ。二段ベッドが三つ。私を含めて5人宿泊。なんとまぁ繁盛してて、あぁウチと大違い。
カーテンとか手作り感ありますね。シーツは自分でセットするタイプです。
キッチンはコチラ。この日は 一週間くらい研修で伊勢に来ているゲストさんが慣れた手つきで料理をしていました。フリードリンクコーナーにココアがあります、コーヒーがダメな自分にはココアがあるのはとっても有難い、朝食時に頂きましたよ。
トイレや洗面など至る所に小さな植物があって、女性オーナーならではの愛らしさがあります。
消灯間際に共用ルームのこの本棚を発見してしまいオーナーさんと漫画談義。いい趣味してますねぇ。ヒストリエが好きなら寄生獣まで手を出してほしい。
若い女性オーナーさんはとっても話しやすくて、あれ?前から友達だったっけ?って感じにすぐに打ち解けて、チェックイン時、夕食から帰ってきた時、銭湯から帰ってきた時、翌朝に荷物回収に戻ってきた時、そのたびに話が止らずに楽しい時間を過ごせましたよ。
上記の写真の左下は玄関の靴置き場の様子。賑わってますね。ちなみに翌朝8:20に出発した時は靴は一つしかなかったです。皆さん 行動が早い。
上記の写真右下は、近隣や外宮近くのおすすめ飲食店情報。手作りでオーナーさんのコメント付きでとってもいい。夕飯とお昼ご飯はこの中からチョイスしました。
オーナーさんに教えてもらった 銭湯(夫婦岩のオブジェが鎮座しています)も徒歩4分ほどのところにあってそちらも堪能しましたよ。
伊勢神宮にはいくつかゲストハウスがありますが、当宿に来るゲストさんに聞いてよく話題に上がるのは「風見荘」さんかここの「紬舎」さん。
この古民家のお家系な感じが好きな人は是非 「紬舎」さんへ。とってもお勧めです!
■この旅で三つの宿に泊まって…
みっつのゲストハウスを紹介しましたがいかがだったでしょうか?
ゲストハウスと一口に行っても、建物や運営コンセプトなど違いますし、スタッフさんのキャラクターなどでも宿の特色が出たりします。
ちょうど同じ日に泊まったゲストさんのメンツでもその宿の雰囲気が変わったりするのも面白いわけです。
久しぶりに国内旅行をして国内のゲストハウスを泊まりましたが、こちらも刺激を受けましたしとっても勉強になりました。
今回は、「コロナウイルス問題で予約が少なくて困ってる宿を泊まって応援しよう」という趣旨もあったのですが、どこもひつじ庵より全然 ゲスト入ってました…orz
湯の峰温泉は熊野古道目指してきた欧米系、那智は常連さん、伊勢は日本人ゲストさんでしたね。当宿ひつじ庵は ここ二年くらいは中国系ゲストさんの比率が高く それに頼り切った運営をしてきたこともあり、今回の事態はもろ影響がでてしまい苦しい状況です。いかに国籍のバランスを日々 考慮しながら運営することが大事かと思った次第です。
とはいえ、この文章を書いているのは3月8日、コロナウィルスの流行がイタリアやアメリカまで及んでいるようで、これからしばらくはどこも辛い運営を迫られるでしょう…。
さてさて、ウィルス流行収束をあらゆる神社で祈願してきましたがどうなるでしょうか…。
そして京都ゲストハウスひつじ庵もいつまであるのか分かりませんよ…(^^;
ではでは。
*
あ、そうそう
これらの宿に泊まったときの旅日記も是非読んでください。
→熊野三山・伊勢神宮コロナウィルス流行鎮静祈願と宿応援の三泊四日の旅(前編)
■あわせて読む。
************
住所: 京都市中京区姉小路通小川東入宮木町472-1
オープン: 8:00-11:00,16:00-21:00